新年名刺交換会挨拶 (2014年1月6日)
第25代総長 松本 紘
新春を迎えて
皆様、あけましておめでとうございます。本年も沢田敏男 元総長、井村裕夫 元総長、長尾真 元総長、尾池和夫 前総長、名誉教授、理事、副学長、部局長、および教職員の皆様と共に新年を迎え、共にお悦びを申し上げたいと思います。
本年の干支は甲午(きのえ・うま)です。ものの本によりますと、甲は兜や鎧を意味し、それらを脱ぎ新たな芽が息吹始めること、午は「陰が陽を冒して上昇する象」であり、新しい変化が兆しながら抵抗する勢力とぶつかり大きな突き上げ、隆起をもたらす年のようです。従って本年は内外多事多難であっても、着実に改革を重ね、信念を持って進めば大きく躍進する年となると思います。さて、平成26年の年頭にあたり、一言ごあいさつ申し上げます。私の任期も残り9か月となりました。今日までこの重責を担ってこられましたのも、皆様方の様々なご支援によるものと深く感謝申し上げます。本日は過去5年余を振り返るとともに、残りの任期中に目指すところを申し上げ、伝統を基礎とし、革新と創造の魅力・活力・実力ある京都大学の実現に向けて、皆様にさらなるご協力をお願いしたいと存じます。
これまでの取り組みの概要とその成果
(1)教育および学生支援
学部教育に関しては、各学部のミッションに適合した4年一貫の学位プログラムの基盤となる教養・共通教育の改革に向け、旧高等教育研究開発推進機構のシステム委員会でカリキュラム改革の基本方針を策定し、科目体系の大括り化と順次性の整備および各学部の卒業要件の改正を平成24年度に行いました。さらに、教養・共通教育の企画および実施等を一元的に所掌する全学責任組織「国際高等教育院」の設置を決定、全人教育の理念のもと、平成25年度より国際高等教育院を発足させ、国際化に対応した教養・共通教育に取り組んでいます。
また、平成25年度には「COC(Center Of Community)事業(「知(地)の拠点整備事業」)を獲得し、地域の未来ビジョンを踏まえ、学士課程教育と地域貢献を一体的に実施する地域連携オープン教育を充実することとしました。
大学院教育に関しては、文部科学省が平成23年度より開始した博士課程リーディング大学院プログラムに応募し、オールラウンド型1件(大学院思修館)と複合型3件(安全安心分野、生命健康分野、情報分野各1件)、オンリーワン型1件(霊長類分野)の計5件が採択され、国際性に富んだ博士人材育成を開始しました。さらに、新大学院「総合生存学館(思修館)」を平成25年度より設置し、教育制度委員会による研究科横断教育とあわせ、研究科を跨ぐ大学院教育の推進を進めています。
学部入試改革に関しては、過度の受験競争の是正およびグローバル人材育成、高大接続等の観点から、高校での幅広い学業の修得と成果および志望学部のカリキュラム・ディプロマポリシーへの適合力の両面を判定し、伸びる人材を発掘する「京大特色入試」を平成28年度より全学部で実施することを決定しました。加えて、入試改革と高大連携および大学教育の改善に向けた全学の取組を支援するための「入試改革検討本部」を平成24年度に新設しました。
学生生活支援としては、平成22年度から本学独自で1億円の授業料免除枠を措置することで、資格者全員が、少なくとも半額の免除を受けることを可能とし、さらに東日本大震災の被災学生に対する各種の支援も行いました。平成25年8月には学生総合支援センターを設置し、カウンセリング、キャリアサポート、障害学生支援の連携を強めました。
(2)研究推進
研究推進においては、ノーベル賞を筆頭とする本学教員の様々な国際的な学術賞の受賞以外に、外部資金獲得額が平成21年度の571億円から平成24年度の600億円に増えました。研究資金獲得支援として、名誉教授による若手研究者応募書類の添削事業を平成22年度から実施し、競争的資金に関わる研究支援を行うURA(University Research Administrator)の組織である学術研究支援室を設置、その後学内7地区に21名のURAを配置、さらに、平成25年度から文部科学省による10年事業「研究力強化促進事業」により20名のURAを採用しています。
また、若手研究者の海外留学を奨励するため、留学費用および派遣元研究室への支援費を支給する「ジョン万プログラム」を開始し、すでに30名近い教員が海外渡航中です。平成25年度からは、「スーパージョン万プログラム」として派遣対象者等を拡充しています。
また、本学からの国際的研究リーダーの輩出をめざす京都大学次世代研究者育成支援事業「白眉プロジェクト」においては、毎年優秀な若手研究者20名を年俸制特定教員(准教授、助教)に採用し、5年間研究費を支給、報告義務のみで、評価を行わず、自由に研究に没頭できる本学独自の制度を発足させ、平成24年度までに累計74名を採用(現員57名)しました。
また、定年退職教員による研究・教育支援のためのシニアアカデミーを企画、平成25年11月に発足させました。
国際的プレゼンスの向上と連携研究促進のため、平成25年1月英国ブリストル大学、同年11月チューリッヒ工科大学、同年12月台湾大学にそれぞれ本学から92名、112名、84名の研究者等を派遣し、合同シンポジウムを開催しました。本年1月にはブリストル大学と日英総勢146名の2回目のシンポジウムを本学で開催する予定です。
(3)社会貢献
1)産官学連携
産官学連携においては、共同研究件数と共同研究受け入れ額の増加と特許移転による収入増加を図り、国内外との関係強化を含めて様々な取り組みを行っています。平成22年4月には、産官学連携本部と産官学連携センターを統合し、組織の一元化により、産官学連携活動体制の効率化を図りました。
平成23年度からは、国際科学イノベーション拠点(文部科学省)の獲得やCOI(Center Of Innovation)の獲得、さらには企業との共同研究型長期インターンシップの全国の中核機関としての役割を果たすことになりました。また、平成23年度に引き続き、平成24年度の特許料収入も全国1位となりました。また平成24年度にはベンチャー支援・育成のための出資金292億円を得ました。
2)渉外活動
平成20年より、東京地区における情報の収集および発信の拠点として「京都大学東京オフィス」を新たに開設し、平成25年11月末までの利用者数は71,192名、講演会145回、会議利用回数1,606回となりました。また、京都大学のプレゼンス向上に係る事業、基金獲得に係る募集活動、同窓生連携事業、広報・社会連携活動の推進など、様々な事業を実施してきました。
本学卒業生の財界トップによる総長支援のための「京都大学鼎会」や、大学支援者との連携強化を進めるため、「京都大学 by AERA ~知の大山脈、京大。」(全国の書店等で20,300部販売)など各種媒体等を活用した事業の企画・実施、「東京フォーラム」や連続講演会「東京で学ぶ京都の知」など、首都圏におけるプレゼンス向上を図るためのイベントの企画・実施、「キャンパスマップWelcome! 京大」(41,500部発行)や「京都大学ファンブック」(日本語版を8,000部、英語版を1,000部)など、これまでにない新しい広報媒体を作成するなど、戦略的情報発信を行いました
基金獲得に係る募集活動としては、教職員をはじめ、卒業生や法人・団体、一般の方々に向けて、本学の教育研究活動支援や学生の奨学支援等の必要性を訴え、京都大学基金の募集活動を展開しました。また、寄附者層の裾野を広げ、より手軽に寄附できる方法として、「本de募金」の募集を開始し、本の売却金額が基金に寄附される仕組みを構築しました。これらの取組の結果、大学全体・学生支援のために1,073件 1.6億円、iPS細胞研究のために6,902件 5.4億円等の基金を獲得し、京都大学基金全体としては、8,397件 7.6億円となりました。
3)医学部附属病院
本学の重要な社会貢献の場である医学部附属病院は近年安定した経営状態を保持することができるようになりました。平成23年冬に病院内に「iPS細胞臨床開発部」を発足させ、「iPS細胞研究所」と密接な連携を取りながら、世界に先駆けたiPS細胞の臨床応用への準備を迅速に進めています。また、同年に発足した先端医療機器開発臨床研究センターでは、多くの革新的診断・治療装置の開発が進行しつつあります。さらに、提供する高度先進医療が評価され,平成24年には、世界的な臨床研究を推進するミッションを持つ「臨床研究中核病院」に指定されました。また、国際医療貢献の一環として、平成25年10月よりブータンへ医療団を派遣しています。
(4)国際化への対応
平成24年10月より約9か月をかけて、京都大学の国際戦略「2x by 2020」を策定しました。これは2020年までに国際指標を2倍にすることを狙うものです。その実現に向けて、総長の諮問機関として強い実行力性を有する「国際戦略委員会」を組織し、長期展望に立った様々な対応を検討し、国際交流推進機構を中心に迅速に実行しつつあります。さらに、これらの国際戦略を実現させるために組織の大幅な改革の検討も始めており、国際戦略はスピード感をもって具体化されつつあります。
教育の国際化に関しては、根幹となる教育制度について、ダブルディグリーのガイドラインの策定、留学先で取得した単位の認定を行う通則の改正と運用に際しての申し合わせを決定しました。さらに、海外のトップ大学との相互乗り入れによるジョイントディグリーの導入や海外におけるサマープログラムへの参加を容易にし、中長期の留学を促すような学事暦を任期内に作成する予定です。
(5)大学組織および財務に関して
本学はこれまでに第1期中期目標・中期計画期間における法人評価を受審しました。その結果、教育以外の評価項目において高い評価を得ることができ、第2期中期目標・中期計画期間における運営費交付金の「プラス配当」に繋がりました。また、第2期中期目標・中期計画を策定するとともに、既存の教員活動評価と連動した全学的な自己点検・評価制度を確立し、2回目の大学機関別認証評価(平成25年度)をこの枠組みのもとで受審しました。
また、新たな組織としては、平成22年4月に第14番目の研究所「iPS細胞研究所(CiRA)」(所長: 山中伸弥教授)を設立するとともに、「機構」関連のセンターを「機構」の中に取り込み再編することで「機構」を実態のある全学組織に変えました。また、学際融合教育研究推進センターを設立し、そのもとにユニットを集約させ、大学として提案設置すべき組織(元素戦略関連ユニット、ナノハブ拠点など)を適時設立できる仕組みを整備しました。さらに、全学の組織見直しに着手し、教員組織と教育研究組織を分離することで、優れた教員人事を担保し、柔軟な組織再編を生み出す組織改革構想をまとめようとしています。
未来を見据えた本学の機能強化のためには、必要なところに必要な人的資源を投入していく必要があります。そのためには、教員配置の公正性を担保する必要があり、まず往年の流用定員を解消しました。また、「重点施策定員」を整理・統合することで「戦略定員」を新たに作り、見直しを行いました。また、厳しい財政状況の下では、教職員の定員を年次計画に従って削減せざるを得ません。そのための削減計画を策定しましたが、同時に、措置すべきところに適切に教職員を配置し、全学の機能強化を図る「再配置定員」の仕組みの策定も行いました。グローバル戦略の一環として進めている外国人教員の雇用加速は、この制度を使って進めています。さらに教員の流動性確保や若手教員の雇用促進を目的として、終身年俸制教員制度を設けるとともに、ポイント制による新たな人員管理制度も策定しました。さらなる大学の機能強化のためには事務とICTの効率化と高機能化が必要であり、共通事務部体制を根幹とする事務改革に着手するとともに、ICT基本戦略を策定し、学内に散在・蓄積するデータを集約し、一元管理する仕組みも策定しました。
財務面においては、国からの運営費交付金が効率化係数等により毎年減少し、依然厳しく、今後の在り方についても不透明な状況です。このような状況下においても、本学が我が国の人材育成の中核を担うとともに更なる教育研究医療活動の発展と質の向上を図るという責務を全うし、中期目標・中期計画を着実に実現するための各種施策活動を推進してきました。
具体的には、第1期中期目標期間中に策定した「京都大学重点事業アクションプラン2006~2009」を見直し、限りある財源の有効活用を図りつつ、高等教育を取り巻く国内外の環境の変化への対応や国際通用力の向上等を目指し、戦略的・重点的に実施すべき事業をとりまとめた「京都大学第二期重点事業実施計画」を策定しました。厳しい財政状況下でありながらも事業実施予算を確保し、毎年適切な見直しを行いつつ、着実に実施しています。また、戦略的経費として、「全学経費」を確保するとともに、「部局運営活性化経費」を新たに設け、教育研究のさらなる活性化につながる各部局の特色ある取組を支援するなど、補助金等の間接経費を活用しつつ有効な配分にも努めました。
また、将来にわたり強い京都大学であり続けるため、平成25年度予算編成においては、学内予算配分方法の抜本的な見直しを行いました。
自己収入増収の一方策としては、資金運用を着実に実施し、毎年度、安定的な運用益を確保しています。一方で、経費削減面においては、「例外のない徹底的な節約と効率化」を念頭におき、「経費削減情報Navi」や「部局別財務状況」を作成し、全学的な情報共有を行いつつ、業務の効率化や管理的経費の削減に取り組んでいます。
昨年末には平成26年度予算案が閣議決定され、運営費交付金は、国立大学法人全体で対前年度331億円増の1兆1,123億円となりました。 給与臨時特例法終了に伴う影響額を考慮しても増額となっており、法人化以来減額が続いていた運営費交付金が初めて実質増になりました。
しかし本学においては、大学改革促進係数△1.3%による△5.9億円の減額やプロジェクト型の特別経費においては対前年度比で最大△30%の減額となる激しい状況の中、新たに機能強化に向けた経費の獲得や新規プロジェクト6件の採択があり、対前年度21億円増の542億円となりました。
国は「国立大学改革プラン」において、平成27年度までを「改革加速期間」と位置づけ、より一層、国立大学の機能強化を推進するため教育研究組織の再編成や人事・給与システムの弾力化を通じて改革を行う大学に対して重点配分を行うとしており、本学としても大学改革を着実に実行し、今後も予算獲得に努める次第です。
(6)施設整備に関して
平成21年4月策定の「吉田最南部地区再整備基本方針」の下、事業計画を進めて来ました。基本計画のうち、実現したものは、まず一つ目は「吉田国際交流拠点施設」の建設です。これは既に吉田国際交流会館として完成しています。二つ目は「新吉田寮A棟」の新たな建設です。現在、埋蔵文化財調査を終え、建設工事を開始しています。ただし、当初取り壊すとしていた旧吉田寮食堂は解体補修することになりました。三つ目は現「楽友会館」の改修です。四つ目は「学生集会所」の取り壊しと代替施設の確保です。すでに「学生集会所」は取り壊され、新建物の建設工事が始まっています。そして、西部構内に代替施設が開設されています。以上のように4項目が、実現、または実現過程にありますが、残る2項目、すなわち、吉田寮現棟に替わる「新吉田寮B棟」の建設と「近衛通までの道路の延長」という計画は現在進行中です。
課外活動施設に関しては、北部グラウンドの人工芝・全天候化改修を、平成25年3月に完了させました。目下クラブボックスの建替え工事中です。また、各運動場、体育館等のインフラ整備を順次行い、平成26年度に本学が主管校となる全国七大学総合体育大会に備えています。
福利厚生施設は、中央・西部・北部の学生食堂・購買を、耐震改修工事に合わせて整備しました。
平成20年度当初76%であった耐震化率は平成25末度末には93%まで向上する予定であり、平成27年度末までに耐震化の完了を目指し、整備を行っています。
施設整備費補助金事業としては、iPS細胞研究拠点施設の整備、国際化を目指した国際人材育成拠点施設の整備など、平成21年から平成25年までに67事業 総事業費約453億円の施設整備を行ってきました。また、昨年12月に公表されました施設整備実施予定事業(平成25年度補正予算および平成26年度予算)においては、グローバル人材育成の拠点となる国際総合教育研究棟(i-ARC)、iPS細胞研究進展のための第3研究棟を含め全13事業(事業費約64億円)が計上されています。補助金以外では、寄附事業により、「稲盛財団記念館」「積貞棟(寄附病棟)」「杉浦地域医療研究センター」の整備、第二期重点事業実施計画により、「おうばくプラザ」「時計台周辺環境整備」、農学研究科附属農場の移転整備、総合生存学館(思修館)の合宿型研修施設の整備、学生寄宿舎の整備など戦略的・重点的に整備を進めてきました。
また、施設・スペースの適切な再配分を通じてその有効活用を図るため、「全学スペース利用システム」として整理し、約7万9千m2のスペースの有効活用を図ってきました。
老朽化した教育研究施設の機能を回復し、「安全安心の確保」「教育研究活動の継続」「施設の長寿命化」を図るため、全学でスペースチャージを負担し「施設修繕計画」を実施する事を決定し、平成25年度より運用を開始しました。
さらに、本学環境憲章に基づき、第1期環境賦課金制度(平成20年度~平成24年度)を実施し、CO2排出削減(年平均2%削減達成)に努めきました。平成25年度からは第2期環境賦課金制度(平成25年度~平成27年度)を実施しているところです。
残りの任期において
教育に関しては、平成26年度より、高校のスーパーグローバルハイスクール事業と連動して実施予定のSGU(スーパーグローバル大学)事業に採択されるよう、全学の叡智と協力を得て取り組みます。これにより、海外有力大学との連携共同による学位プログラムを実施する新たな教育組織であるiCOKU(仮称)の設計に取り組むとともに、教育展開にとって最も重要な学事暦や成績評価の国際対応化や学位制度の整備を行います。
研究に関しては、研究資金の公正な経理について研究者などの意識をさらに高め、全学の教職員に京都大学規則の遵守を徹底します。また、未整理なコンプライアンス、ガバナンス体制を合理的な体制に整理します。URA組織の財政的基盤の確立を図ります。また、本学の世界ランキングを高めるための研究基礎データの蓄積と評価方式の策定や提案を行います。
産官学連携に関しては、建設中の「国際科学イノベーション拠点棟」を基盤に、平成25年度に採択された研究成果展開事業(COI STREAM)の37課題に及ぶ研究開発と、産業界・地域公共団体・国内外の大学を巻き込んだ縦横無尽のシーズニーズの発掘事業を展開します。そしてこれら三つの事業により生み出された研究成果、および既存の研究成果をイノベーション創出につなげていきます。
渉外活動に関しては、多角的に情報発信を行い、大学支援者の裾野が広がるようなイベントや広報物による本学のブランド向上事業に取り組みます。また、基金戦略を策定し、平成34年に迎える創立125周年に向け、「京都大学らしさ」を、より鮮明にアピールして、寄附マインドの醸成を図り、着実な周年基金募集活動の展開に繋げます。さらに、本学の教育研究活動を支援する寄附を卒業生から幅広く獲得するために、卒業生連携のツールとして同窓生クレジットカードの発行、および基金を活用した学生の留学支援と留学生支援の充実を目指します。
また、戦略的情報発信の強化・充実を図るため、広報戦略を策定するとともに、広報戦略に則り、各種広報誌の見直しおよびICTを利用した情報発信を強化します、
大学全体の組織改革に関しては、現在検討中の組織改革の構想を役員会決定し、学域・学系の基本構成など、構想の具体的な中身を確定します。また、大学のガバナンスについては、中央教育審議会組織運営部会の「審議のまとめ」に基づき、文部科学省が関係法令の改正などを予定しております。このような動きを踏まえ、本学の規程を見直し、学校教育法および国立大学法人法の趣旨に即した内容になるよう所要の改正を行いたいと思います。また「ミッションの再定義」によって対応を迫られている組織の改革については、平成28年度概算要求を目指して基本構想をまとめます。また、教員の年俸制導入とセットで進める教員個人評価制度も基本構想をまとめます。
施設関連ではリーディング・プログラム関係の施設として左京区役所跡地に建設中の(中阿達)教育研究施設、合宿型研修施設(II期)を完成させて、大学の人材育成機能の基盤整備をすすめるとともに、学生生活における安全かつ安心な住環境を確保するためにも吉田寮、学生集会所等の吉田南構内の再整備を軌道にのせたいと思います。また、環境教育などのソフト面の施策も包含するサステイナブルキャンパスを実現するためのアクションプランを策定します。
むすびに
京都大学の魅力・活力・実力のさらなる向上のためには、組織再編を活発化し、既存の枠組みにとらわれない学部と大学院をまたぐ新たな教育システムの設定や、教員組織の融合による教育・研究組織の柔軟化、特定学術領域ごとの組織的結合などを大胆に進める必要があると思います。京都大学の強みを活かした様々な施策の実施による大胆かつ効果的な大学改革の実行は喫緊の課題です。皆様にはこのことをご理解いただき、さらなるご尽力を切にお願いする次第です。
最後になりましたが、本年が皆様方にとって素晴らしい一年となりますように心より祈念し、年頭のあいさつとさせていただきます。