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[ 2024/11/23 17:58 | ]
合宿レジュメ
8月27,28日におこないました「大学奪還学生行動」の夏合宿で使用したレジュメです。


〔大学奪還学生行動 夏合宿 一日目レジュメ〕
 

「大学」

 
大学・教育・未来を体現する学生は

 全学連大会へ仲間をつれて結集しよう

 

【1】はじめに、レジュメの獲得目標を確認

 

大学を奪還するということは、学生が政治を奪還すること。

いま、社会が様々な矛盾を生み出し、その行き詰まりが大学・教育の現状にも表れている。この社会を変革する行動を通してのみ、大学・教育を奪い返していくことも可能になる。にも関わらず、実践的な活動と切り離された大学の現状。理論と実践の分裂を克服することが求められている。

社会を変革する行動、ラディカルな政治闘争に立ち上がるための組織を自分達の手で創ろう。全学連大会にあつまる全国の学生とともに討論し、学生自治の復権、巨大な政治闘争の方針を確立しよう。未来を体現する学生は、仲間を連れて全学連大会へ。

 

社会の未来を体現する存在であるはずの学生と大学・教育は、現在どのような状況にあるか?そしてこの現状はいかなる歴史的経緯の結果としてあるのか?そこを考えることを通して、時代認識と路線・方針を確立していくことをレジュメの獲得目標にしたいと思います。

 

 

前半 教育の変遷

 

【2】「公教育」その成立以前と以後

 

●限定されていた「学問」への参加

     教会権力の統治機構としての「大学」 論理学、神学などの発展。自然科学の停滞

     科学の前進に敵対する形態でしか支配を維持できない封建制の諸関係

 

●一方で教会権力からの独立を志向する「大学」の登場

     学生と教員の組合の連合としてのウニベルジタス ボローニャ大学など

     教会権力の介入と対立したり、屈服したり。

 

●生産力の発展が可能にし、また必然的に求めた「公教育」

     マニュファクチュア、産業革命。大量の労働力の産出とそれを求める社会への進展

     一つの産業(主に農業)に固定されない多様な労働に従事できる人間を求める産業

     一定の教育水準を保障しなければ維持されない関係が社会的に生まれる

     人口の多数を包摂する事業としての「公教育」の成立

 

☆「大学の自治」「学問の(支配者からの)独立」は、社会的生産関係の変遷の中で成立した。「公教育」は資本制的生産様式の発展程度に規定されて確立していった。

 

【3】公教育の最盛期に進行したこと

 

●産業資本主流(自由主義段階)から金融独占資本主流(帝国主義段階)へ

     生産手段の大規模化と集中の進行 鉄道・郵便など国家規模の資本集積、金融・株式

     国家の統治機構の巨大化。より多くの人口が公務員労働者として必要に。

     「公教育」の保障は、産業のみならず社会水準を維持する絶対的条件に

     戦争の性格の一変(国家総動員戦)とそれに対応した教育の必要性

 

●階級闘争の激化がもたらした「公教育」の発展

     1871年パリ・コミューン 史上最初の労働者権力

     1917年ロシア革命 8時間労働制、公的医療、社会保障

     湧き上がる大衆の欲求を政治革命と切断するために資本主義国でも社会保障の拡充

 

●「公教育」の最盛期=戦後体制の中での大学

     日本の学生運動 60年安保闘争-70年安保・沖縄闘争

     世界の学生運動 フランス「5月革命」 アメリカ「フリースピーチ運動」etc…。 

 

☆現代の社会秩序に対する反逆の拠点となった大学と、かつて自らの利益のために求めた「学問の独立」を保障できなくなった資本主義→転換が迫られた。

 

【4】1974-75年恐慌と「新自由主義」の始まり

 

●国家独占資本主義の矛盾の露呈

     財政赤字の巨大化

     不均等発展と過剰資本・過剰生産

     アメリカを基軸とした世界体制の揺らぎ 金ドル兌換停止 ベトナム敗戦 イラン革命

 

●新自由主義への転換

     実体経済からの遊離 全世界のバブル経済化

     「構造改革」民営化・労働組合破壊とそれを通した労働市場の流動化

     中国・改革解放 ソ連ペレストロイカとアフガン侵攻

     「教育改革」の始まり レーガン、サッチャー、中曽根

 

☆「あらゆる社会的連帯、紐帯を解体し、フレキシブルな競争を実現する」という新自由主義。「真理の探求」「学の独立」のタテマエの崩壊。「営利こそが最終目的」

 

後半 「教育の民営化」

 

【5】90年代教育改革と04年国立大学法人化

 

●90年代教育改革

     大学院重点化政策91年9万人→08年26万人。「高学歴ワーキングプア」の登場

     就職活動に伴う大学と企業の協定が破棄される。就活前倒し。

     法政大学清成総長の「自立型人材の育成」路線。「流動化する労働市場の要求に対応」

     学生自治の解体攻撃

     寄付講座の開始

 

●90年代に進んでいたこと

     85年労働者派遣法制定、87年国鉄分割民営化、89年に総評解散→連合結成

     日教組が「文部科学省とのパートナー」路線を採択

     95年日経連プロジェクト報告『新時代の日本的経営』。9割非正規職化を宣言

 

●04年国立大学法人化

     交付金削減と中期計画、中期目標で文部科学省が大学を統制。「目標・計画の設定や定期的な業績評価といった仕組みを通じて国の意思を法人運営に反映させる」

     経営協議会設置、学長権限強化=大学自治解体「決定権の剥奪」広島大学、富山大学

     経営協議会による公教育の私物化。銀行など。

 

●アメリカの教育改革

     フリードマンの教育バウチャー構想。個別消費者の論理への取り込み

     レーガンの州知事の教育改革「バークレーのごたごたを片付けろ」大学に反動的教授を送り込む。軍学・産学共同を強行。左翼的、良心的な教授・研究者のパージ。

     ブッシュ大統領の「落ちこぼれゼロ法」。全国学力テストを実施し成績不振の学校への連邦補助金を打ち切る。企業経営のスタンスの学校への導入。「柔軟な運用、地方のコントロール強化、親の強い選択権」

     労働組合の変質。デンバー市教組は知事の教育改革に協力して新給与体系(賃下げ)を共同で作成。ニューヨーク市教組は「無能力教員の解雇手続き」を早めるよう要請。マサチューセッツ州の教組はかつて「当局は非行生徒に対する特別な配慮に欠ける」と非難していたが、パートナー路線のもとで「非行生徒を早く退学・停学処分にして教員の危険を取り除き、学習環境が損なわれないようにすべきである」と提言するようになる。

     軍の募兵官による学校現場における貧困生徒へのリクルーター活動

     オバマ大統領の教育改革=UTLA(ロサンゼルス統一教組)への解体攻撃。

     教員予算の大幅削減で、教育労働者を大量解雇

     成績と給与の連動制、成績不振校の廃校・全員解雇

     チャータースクールの急拡大。900校のうち250校をチャーター化

 

●ボローニャ・プロセスによる欧州教育改革

     99年ボローニャ宣言。29の国が参加し「統一された大学圏を2010年までに」

     学修過程と学位の構造を欧州共通に。「学生の移動性を高め、大学間の競争を促す」「新しい構造により大学での学修を労働市場の要求に適合させること」が狙い。

     ECTS(欧州履修単位相互認定システム)に基づく成績付け。「学生の学修努力を、勉学の負担量により測定する」のが基準。統一規格で取得した学位が企業にとって評価しやすくなる。大学を労働力商品製造の機関とし、学生に一定の「品質」を要求する。

     学位構造の変化。バチェラー(学士)・マスター(修士)制度の採用→大学生活の超過密化。重複するゼミ、頻繁なテスト、インターンの必須化、退学者の続出。

     バチェラーは社会的評価も低く、マスターへ進まざるを得ない。マスター過程ではもっと過酷な競争。

     大学教育の質の悪化。「学校化」

 

☆世界的に進行した教育改革は、「学生が教育の主体」ということを否定し、サービスを受用するだけの消費者にするものとして展開された。それを通して学生を商品にしていく過程。

 

【6】「教育の民営化」は「公教育の破壊」へ

 

●公教育崩壊の現状

     国立大学運営交付金は6年間で720億円削減。99校から86校に再編・統合

     法科大学院による国家的詐欺。6000人中合格者は2000人。相次ぐ撤退

     就職率60・8%

     奨学金返還訴訟4233件 04年から70倍。ブラックリスト化。奨学金が利殖のための事業に。

     学費の際限ない高騰。私立大130万円、国公立でも81万円

     小中高の現状。「提起が買えず学校にいけない」「万引きしてご飯を食べている」

     学生自治寮の破壊。東大駒場寮、東北大学有朋寮など

     学生自治の破壊。言論・表現規制、弾圧。早稲田大学、明示大学

 

※さらに詳しい状況は次の資料などを参照してください。「貧困大国アメリカ2」「高学歴ワーキングプア」「ドキュメント高校中退」「全学連訪米報告パンフレット」

 

●教育の民営化の最先頭を行く法政大学

     「東洋最大の自治空間」学生会館の解体

     自治会非公認化・解体。学祭規制

     06年3月ビラまき、たて看板設置禁止。抗議する学生29人を通報し逮捕させる。法大生には退学・停学処分

     07年学友会(サークル自治会)解体を発表。当局の御用団体CSKに改変。認可、予算権、部室配分などはすべて当局に決定権が移る。

     CSKに加盟せず、自治を掲げて存続した文化連盟の決起と度重なる弾圧。

     09年入試情宣弾圧「営業権の侵害」

     09年4・24法大解放総決起集会に1500人。5月に戦前以来の治安弾圧法である暴処法を用いて文化連盟、全学連の執行部を逮捕・起訴(12月に全員奪還)

     自主法政祭への規制強化、キャンパス飲酒規制の導入。

     2010年、文化連盟委員長・斎藤郁真くんと倉岡さんに退学・停学処分。集会の主催が「学生の本分に悖る行為」

     学祭規制反対の行動の先頭にたっていた洞口さんにでっち上げの理由で無期停学処分

     学祭説明会では一回生が御用団体幹部に抗議。30サークルが不信任の意思表明。

     ダンスサークルの排除。「東京理科大や明治大の学生が所属していたから」

     「本当のライバルは中国やインドの学生」(『HOSEI』)

 

※より詳しい法政大学の状況は次のブログを参照してください。

「法政大学文化連盟」08bunren.blog25.fc2.com/

「3・14法大弾圧を許さない法大生の会」hosei29.blog.shinobi.jp/

 

【7】人類の反逆史としての大学、そして現在

 

●開始された「教育の民営化」への国際的反乱

     「欧州の熱い秋」ボローニャ・プロセス粉砕の大学スト

     米カリフォルニア州3・4教育ゼネスト

     ブラジル・ANEL全国大会にて12月国際統一行動が決定

 

●「教育の民営化」に対する反撃の拠点・法政大学

     学友会解体に抗して法政大学文化連盟が決起

     「営業権」による学生弾圧と対決する法大生

     斎藤くん、倉岡さんへの「不当処分撤回全国署名運動」開始

     自主法政祭規制をめぐる学内攻防

     首都圏諸大学で「署名運動実行委員会」の連続的結成

     関西で「法大闘争実行委員会」結成→「大学奪還学生行動」旗揚げ

     法大闘争の求心力。韓国、アメリカ、ブラジル、ドイツの学生との結合

 

☆未来を食いつぶしてしか今を維持できない「新自由主義」「教育の民営化」は、国際的な学生反乱を生み出した。理論と実践を統一し、真理の大学を回復する展望は、「教育の民営化」に対する学生反乱の中で描かれる。ラディカルで巨大な政治闘争へ。学生自治の復権を!

                                        (了)

 

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[ 2010/08/31 13:36 | Comments(0) | TrackBack() | キャンパス ]

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