菅直人 内閣総理大臣殿
海江田万里 経済産業大臣殿
寺坂信昭 原子力安全・保安院長殿
2011年3月31日
3・20集会実行委員会
連絡先 全学連(全日本学生自治会総連合)
委員長 織田陽介
Mail mail_cn001@zengakuren.jp
TEL/FAX 050-3036-6464
請願法に則り、「抗議ならびに申し入れ」を提出するので、誠実に回答されたい。
請 願 書
3月11日に発生した東日本大地震にともなう東京電力・福島第一原子力発電所の事故に関し、以下のことを申し入れる。
一つ、ただちにすべての原発を停止・廃止するよう電力会社に命令すること。
一つ、今回の事故に関し把握されている全情報を速やかに公開すること。
一つ、今回の事故を招いた責任を認め、謝罪し、被害に関して全面的な補償を約束すること。
(1)
ただちにすべての原発を停止・廃止するよう東京電力はじめ全ての電力会社に命令せよ。
今回の福島原発事故は恐るべき被害をもたらしている。高濃度放射能をまき散らし、住民を被曝させ、水・土壌・農畜産物を汚染し尽くし、農業・漁業・畜産業に壊滅的な被害をもたらしている。今もなお事故現場では、労働者が被曝労働を強制されている。その上、事態はまるで収拾のめどがたっていない。
これまで政府と電力資本が宣伝してきた「安全神話」の虚構は、今や完全に崩壊した。今すぐ全原発を停止し、余震に伴う事故の再発を阻止しなければならない。
ところが、東京電力を始めとする電力会社は、この期に及んでもなお原発事業の維持を前提とし、最低限の安全措置としての原発停止さえ行なっていない。保安院はそれをどう考えているのか。
保安院は、原発絶対安全論など神話にすぎないことを認め、全原発の停止・廃止および原子力事業からの全面撤退を電力会社に命令されたい。
(2)
今回の事故に関し把握されている全情報を公開せよ。
とりわけ、事故にともなう放射性微粒子の放出により、体内被曝の危険性が非常に高まっているにも関わらず、この点に関して公に十分な説明がなされていないのはどういうことか。
また、保安院は今回の事故についての国際原子力事象評価尺度 (INES) を当初「レベル4」とし、18日の時点で「レベル5」に修正しているが、15日の時点ですでにフランス原子力安全機関は「レベル6に達したのは明らか」と発表し、アメリカ科学国際安全保障研究所も同日「レベル6に近く、レベル7に到達する恐れがある」と発表していた。この間の保安院の姿勢は、事故を意図的に過小評価し、原発事故による被害の深刻さを隠蔽するものではないか。この点に関し、納得のいく説明をされたい。
そして、すべての情報を包み隠さず公表せよ。
(3)
産業活動の安全規制、保安を職務とする保安院として、今回このような大惨事を引き起こした責任をどう考えるのか。
これまで、日本の原発は何度も深刻な事故を起こしてきた。日本で初めて臨界事故を起こしたのは、他ならぬ福島第一原発(78年)である。この事実も、2007年に至るまで東電によって隠蔽されてきた。99年の茨城県東海村JCO臨界事故では作業員2名が死亡し、667名もの人々が被曝した。
こうした恐るべき事故の数々にも関わらず、保安院は、原発の危険性や被害の深刻さを顧みようとせず、政府・電力資本の原発推進政策を積極的に容認してきた。昨年3月、95年にナトリウム漏えい事故を起こした高速増殖炉「もんじゅ」の再稼働を認可し、12月には東電東通原発の設置も認可した。
その行き着いた先が今回の福島原発事故である。もはや想定外の災害だった、などという言い訳は許されない。政府、経済産業省ならびに原子力安全・保安院は、今回の事故を招いた責任を認め、謝罪し、被害に関して全面的な補償を約束せよ。